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  Fリーグ2011 第16節 浦安vs花巻 11月19日 浦安市総合体育館
 ステラミーゴいわて花巻 浦安戦、敗戦後のインタビュー  
                
 

 11月19日の浦安戦で、ついに12連敗となったステラミーゴいわて花巻。
 この試合の結果は4-1。シュートは浦安33本、花巻12本。
 前半花巻は引いて守り、時折ゴール前へ迫ったが、基本は繋ぐフットサル。
 ロングボールや長い距離をドリブルで持ち込むような早い攻撃は見られなかった。
 後半も基本は同じ。浦安に先制されていたためやや攻撃的だったが
 極端な戦術の差は見られず、4-0となった後の残り4分のタイムアウトから
 ゴレイロを伊藤から冨田に替え、ゴレイロ以外を前に位置取る攻撃に出たが
 パワープレーなどは仕掛けなかった。
 
    浦安戦、試合のレポートはこちら

 この戦いに疑問を持った観客も多い。実際試合後、複数の浦安ファン、花巻ファンから
 「ほとんど花巻陣内で試合が行われているのになぜロングパスやドリブルで早く浦安ゴールに迫らないのか?
 だたでさえ劣勢なのに花巻の得点機が少なく、盛り上がりに欠けるではないか。」という声を聞いた。

 花巻が時間をかけてチーム作りをしていることは周知のことだが、12連敗にもなる状況で
 この姿勢を続けていていいのか?結果が出ていないではないか?という疑問の声があがるのは当然。
 筆者もこの点が気になり、監督の考えと選手の意思統一が出来ているのか等、
 試合後の公式インタビューとミックスゾーンで改めて直接質問をぶつけてみた。


 花巻・相根監督のインタビュー
 

 >今日の試合について感想をお願いします。

 なかなか勝てていないですが、私達は勝つためにやっています。
 もし勝てなかったとしても、一つ一つ経験を積み上げていくことが大事です。
 目指すのはアグレッシブルにやること、落ち着いてボールを回すことの2点で、
 それを両立が出来るチームにしていきたいのですが、
 一つを意識するともう一つが出来なくなるというのがまだまだ課題です。
 今日の試合でいうと、相手の前からのプレッシャーを回避できず
 やりたいことが出来なかったのが私のプランの失敗だったと思います。
 一方浦安は40分集中を切らさずプレーしていました。ああいうフットサルを目指したいと思います。
 
 >なかなか結果が出ませんが、連敗の中で変化はあるのでしょうか?

 例えばアグレッシブルにやるというのも、開幕当初は一か八かで、
 点を取れても偶然、守れても偶然という点があったのですが
 今は精神的にも落ち着いてボールを回しながら狙いを持ってやれるようになりました。
 この前の大阪戦(0-2)もその前の神戸戦(1-4)も自分達が主導してボールを回す時間帯がありましたし、
 成長していると実感しています。
 
 >チームを作るために繋ぐのは良いとしても、試合展開や時間帯によって
   ロングボールを使って早く攻めたり等、切替えながらやる必要があるのではないでしょうか?


 言っていいか分からない面もありますが、今日も実はそれをやっています。
 ただ、いまの段階では、いろんな戦術を一辺に盛り込むことよりも
 一つ一つ先ほど言った課題をクリアして、また次を積み上げて行くほうがチームに良いと考えています。
 
 >勝てないことへの批判もあります。いつ勝てるようになると考えていますか?

 私は神戸戦も大阪戦も今日も本気で勝ちに行っていますし、勝てる目処も立っていると思っています。
 次節の湘南戦も同じ思いで挑みます。
 連敗が続くというのはスポーツ選手でないと経験できないことで、
 私達は小学1年生のようなチームで、それでいうと浦安などは中学生のような存在で、
 戦って経験を積めるのは幸せなことではありますが、
 それくらいの差を埋めなければいけない厳しい状況ではあります。
 しかし、これを乗り越えて1勝したときに、逆にその若いパワーが開花すると思っています。
 第1クールの負けと第2クールの負けは違います。
 第2クール、特に名古屋戦以降は勝てる目処が立って勝ちに行っています。
 一度勝つというキッカケを選手達がつかんでくれれば爆発すると期待しています。
 

 浦安・岡山監督のインタビュー
 

 >今日の試合は比較的易しい試合だったように見えてしまいます。
  浦安側から見てやはり花巻は組みし易い相手なのでしょうか?


 花巻に楽に勝てると思ったこともないし、実際楽だったこともありません。
 今日もそうです。皆さんが感じているような楽な試合ではありません。という前提のもとで一つ言える事は
 花巻は、こういっては失礼ですが選手の力はやはり少し落ちると思います。
 その中で、確かに低い位置でディフェンスしますが、そこから上がってプレスをかけて来くるので
 ベタ引きではないですし、ロングボールを使うときもありますが、しっかり繋いで攻撃して来ます。
 目の前の勝点1でも取れればいいというフットサルではなく、レベルの高いフットサルを目指しています。
 これを僕はリスペクトしていますし、実際僕が監督をやったとしても、
 全く同じでないにしても同じようなフットサルを目指すでしょう。

 逆に勝ちしか見えないようなフットサルをやることが全てなのか?疑問に思うことがあります。
 いまは見ているお客さんも意識しなければいけないのも確かですが、
 フットサルがこれから本当に文化として、スポーツとして定着していくためには
 フットサルの本質的な面白さを伝えられるような内容の試合をすべきだと思うし、
 我々も含めてそういったフットサルを目指すべきだと、そう思っています。

 結果がすべてと言えるのも事実ではあるんですが、花巻のああいった姿勢は見習いたいですし、
 ただあのフットサルは時間がかかりますよ。その中で最大限早く結果が出るように努力しているんだと思います。
 実際、前節の大阪戦を見ましたが、しっかりパスを回せているし、まだプレス回避される場面もありましたけど
 内容は決して悪いものではない。ブラジル人と代表選手が何人もいる大阪を相手に
 0-2でそんなに崩れた試合をやっていないし、
 去年みたいなチーニョやアンデルソンに頼った試合とは違う良い内容だと思います。


 花巻キャプテン後呂選手の話
 

 >まず今日の試合の内容について教えて下さい。

 今日は浦安のセットプレーを警戒していたのに結局そこから2失点してしまったことが反省点です。
 あとは前半の途中まで、プレス回避されたりシュートまで持ち込まれながらも
 身体を寄せたり、我慢して崩されることなく守れていたのが良い点でした。
 最近3試合、名古屋・神戸・大阪と早い時間で点を取られていたので
 開始5分をしっかり守ることが今日の課題の一つでしたので。
 でもそのあとの時間帯で結局失点してしまったので、
 僕らは守りから入るんですけど、次は先制点を取ることが僕らの課題だと思います。
 勝利のためには是非とも先制点が欲しいです。

 いま僕らはハーフから守っていこうと仕掛けているのですが、
 それは単にディフェンスで終わるのではなく、良い体制から攻撃をスタートすることで
 相手を「ハメて」得点につながる確立を上げるためにやっています。
 それが上手くやりきれないこともあって、守りで手一杯になったり
 逆にカウンターを食らったりすることもあるのは事実ですが、
 戦術の狙いは選手皆が理解しています。

 >結果が出ないことで迷いは生まれませんか?

 12連敗なんてあってはいけないことだし、だからといってチームを良くして行かなければいけないし、
 でももちろん勝負にこだわっていないなんてことはありません。
 自分達がこれまで積み上げてきたものがあると思っているし、あとは勝つだけです。
 勝てばメンタル的にも全て変わると思います。
 開幕戦で勝ったあの勝利の味は忘れられないですし、
 あの1勝の喜びをまた味わいたくて、それを目指してやり続けているつもりです。
 練習も必死でやっていますし、何か足りないわけでは決してないと思います。
 
 >勝てそうだ、とか成長している、という手ごたえは感じているんですね?

 感じています。もちろん足りない面もありますが出来てないとは思いません。
 前の大阪戦(0-2)もその前の神戸戦(1-4、前半1-1)も本当にどっちに転ぶか分からない試合で、
 特に神戸戦は1-1の時間が長くて、僅差だったと思うし
 もちろんそこで勝つチームはチャンスに決めることが出来て、僕らは決められていないので
 その差があるのは確かですが、本当にもう少しだと、選手皆がそう感じています。
 毎試合本気で勝つつもりでやっていますし、これを乗り越えればきっと違うものが見えます。
 今日もですが、毎試合応援に来てくれるファンの方に勝てなくて、ジレンマがあって申し訳ないけど
 決して僕らは1試合1試合の負けを簡単に受け入れていないし、きっと勝てると思っています。


 


 花巻は連敗をしながらも監督と選手の意思統一が取れ、迷いがないのは確かなようだ。
 それに手ごたえも十分得ている。結果だけ見ると得点も少なく
 単に同じ負けを繰り返しているように見えるが、
 選手達は危機感が足りないわけでも努力をしていないわけでもない。

 今期の花巻は、チームの要だったチーニョ・アンデルソンという外国人の放出、
 チームの顔的存在だった渡邉・肥沼といった主力選手たちの移籍、
 日によっては試合当日にもなるバスでの長距離移動、そして何よりも東日本大震災など、
 選手には言い訳のできる環境が山ほど揃っている。

 しかし後呂選手をはじめ、全ての選手の目には虚勢もなく、
 言い訳もしない真実味と決意が見て取れた。試合直後、疲れているにも関わらず、
 整理体操的なものではなく、まだこのあと試合が続くかのようなミーティングを
 行っていたことを見ても、そのあとのミックスゾーンや帰り際の選手の顔を見ても
 他の敗戦チームのそれとは違う緊迫感を感じることができる。

 もちろん、大事なのは過程ではない。過程はあくまで結果のためのものだ。
 対戦チームの選手の中にも「花巻には内容よりも勝ちという結果が必要。
 勝つことで周りの見る目と内容変わる。」と言っている選手もいる。
 だがベストはこのやり方で結果を残すこと。選手は「もう少し長い目で見てくれ」などと言い訳していない。
 花巻の次の試合は、集客力のある県庁所在地・盛岡での湘南戦。
 選手の言う「手ごたえ」を形にするには、ここで勝つしかない。

                                       文:中根



  次節、花巻は11/26(土)13:00~岩手県営体育館(盛岡)で湘南と対戦します。

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