3月17日 代々木第一体育館
全日本選手権 PUMACUP 決勝戦
フウガすみだ vs 名古屋オーシャンズ
2009年、奇跡の優勝といわれたフウガ目黒の優勝から4年。本拠地を墨田区に移し、
Fリーグを目指す地域密着チームとして活動してきたフウガが、集大成として全日本選手権の決勝に戻ってきた。
対するは6年連続Fリーグ王者・名古屋オーシャンズ。なぜかこの大会だけは優勝のない名古屋だが、
日本フットサルを創成期から牽引してきた木暮が引退するこの試合で、最後に残されたタイトルを取るために
気持ちが入っている。これまでオーシャンアリーナカップなどのフウガとの対戦では、あくまで
「下のカテゴリーのチームにしては頑張っている」というスタンスでフウガを表現していた名古屋も、
今回は北原がフウガは強いと公言するなど、フウガを認めた上で堂々と優勝する構えだ。
勝っても負けてもこれが最後の木暮選手。
名古屋アジウ監督も最後の采配。
やっとここまで来た。感慨深げにコートを見つめるフウガ須賀監督。
試合前、フウガは回る円陣も披露。
<前半>
試合は名古屋が序盤からフウガに攻め手を与えないよう積極的に前線からプレスを掛ける。
しかし5分、名古屋の攻撃を受けていたフウガ半田がゴール前から右前方へロングフィード。岡山がこれにすばやく反応し
トラップで名古屋吉川をかわしGK川原の足元を抜くシュート。フウガが少ないチャンスを生かし先制する。
これで慌てず、逆に集中力を増す名古屋は続く6分、ペドロコスタとのパス交換から左サイドでサカイが
ワンステップでフウガ岡山をかわし、ファーポストに当たる見事なシュートを決め同点。1-1。
この後も名古屋がポジェッション高く攻めるが、フウガも素早いカウンターで緊迫した時間が過ぎる。
やや試合が落ち着いたかと思われた10分、右キックインから逆サイド半田が点で合わせるようなダイレクトボレーを
ゴール左下隅に決めてフウガが再び勝ち越し2-1。名古屋相手の2点目にほぼ埋まった1階席の観客も大きく盛り上がる。
名古屋はフウガにリードを許したままではいられないとゴール前にフウガを釘付けにすると15分、右サイドで
リカルジーニョがシュートフェイントから左へパス。駆け上がってきた吉川がゴール左上に叩き込んで同点に追いつく。
前半はエース太見や森岡ではなく今大会好調のフウガ岡山、名古屋吉川がともに点を取り2-2で終了。
前半のシュートはフウガ7本に対し名古屋27本。冷静に見れば名古屋が圧倒しているが、
先にフウガが点を挙げていることや得点をイメージさせるカウンターで、得点通りの互角に近い印象で前半を終える。
5分、フウガ1点目。半田のロングフィードから岡山。1-0。
6分、名古屋1点目。ペドロコスタとのパス交換からサカイのミドルシュート。1-1。
10分、フウガ2点目。右キックインから左サイド半田のボレーシュート。2-1。
15分、名古屋2点目。右リカルジーニョから左の吉川。2-2。
<後半>
なんとしてもFリーグに上がりたい者とそのFリーグの王者、互いに負けられない。両チーム円陣を組んで決意の後半。
前半の反省からか名古屋がフウガのカウンターを意識しながら攻めるため、決定機は前半より少ないが
フウガに攻め手がなく、前半以上に名古屋のペース。しかしここでも決死のフウガはワンチャンスをものにする。
27分、中盤でボールを奪ったフウガ、左サイドで太見が前方の宮崎に当て、ゴール前に落とした玉を走りこんだ太見が
ゴール右上に蹴りこむ!これ以上ない息のあったワンツーで名古屋の守りを切り裂きフウガが三度目のリード。3-2。
ゴールを決めたあと、そのままフウガサポーター席に向かった太見。会場はこれ以上ないほど最高に盛り上がる。
この時点ですでにプライドを大きく傷つけられた名古屋の目の色がさらに変わる。
Fリーグを盛り上げてきた人達のために、そして自らのために絶対に負けられない。森岡がリカルジーニョが、
次々にフウガゴールに襲い掛かる。だが名古屋の怒涛の攻撃に、フウガディフェンスも立ち向かう。
GK大黒のファインセーブ。飛び出した大黒をゴール内へ入ってフォローする諸江。ポストやバーに当たるシュートも
ギリギリでインせず、まさかこのままフウガの逃げ切りもありえるかと感じ始めた35分、名古屋の攻撃が実る。
中央リカルジーニョから左森岡が縦に抜けスライディングで折り返したボールをゴール前に詰めたサカイが押し込む!
3-3の同点。この後も攻める名古屋。大会中、フィールドプレーヤー12人を目いっぱい使って試合を回すフウガと
主に8人で回している名古屋だけに、疲労が蓄積する決勝戦はスタミナの面ではフウガ有利と思われていた。
しかし名古屋は試合開始からの徹底したプレスを終盤まで継続。スタミナでもフウガを上回わってみせる。
名古屋相手に接戦を演じるフウガも凄いが、本気の名古屋は信じられないほど本当に強い。
終了間際も森岡のシュートがバーに当たるなど名古屋の猛攻が続いたが、
フウガが気持ちで守りきり、3-3のまま後半も終了。試合は5分ハーフの延長戦へもつれ込む。
27分、フウガ3点目。左太見が上がりながら中央宮崎とのワンツー。3-2。
35分、左森岡が縦に突破し折り返しをサカイ。3-3。
<延長戦>
延長も名古屋ペース。フウガはもう守りきってPK戦に持ち込むしかない、というムードが会場に流れる。
そして延長前半4分、ついに名古屋が勝ち越す。森岡がゴール前で一度当たって後ろに返したボールを
左から内側に入ってきた吉川がゴール右上に蹴りこむ! この試合で初めてリードを奪う名古屋。飛びついて喜ぶ吉川。
後半に入っても名古屋ペース。こういう時の勝ち方は知っている。無理に攻めないが相手にボールも渡さない。
さすがにこのまま終了か、フウガも良く頑張った、という雰囲気で会場が収まりかけた終了5秒前。
右サイドでキックインを得るフウガ。フウガ須賀監督の指示が飛ぶ最後の攻撃。強いキックインをゴール前に蹴りこみ
北原がクリアしようとした所に半田と太見が飛び込む。ボールは一瞬で北原→半田→太見に当たりゴールへ転がる。
なんと残り4秒、フウガの同点ゴール! 歓喜を超えた喜びを見せるフウガ。最高の上を行く怒涛の歓声が続く中、
タイムアップのホイッスルが鳴る。今期最後のゲームが今期最高の試合となり、決着はPK戦へ。
延長前半4分、中央森岡の戻しを左から切れ込んできた吉川が決め3-4。名古屋が始めてリードを奪う。
延長後半残り5秒。吉川が蹴り出す。フウガキックイン。
最後の守りに声を掛けるアジウ監督。
宮崎のキックインから↓
半田と太見が飛び込みゴールへ押し込む!
土壇場で同点!4-4。
<PK戦>
同点になったとき、喜びに打ち震えたフウガ須賀監督だが冷静にもGKはPK戦に備え揚石に代わっている。
名古屋の一人目は2点を奪っているサカイ。しかしさすがにプレッシャーが掛かったのか、GKの正面に飛び失敗。
大歓声のフウガサポーター。しかしフウガ一人目大森も名古屋GK川原がセーブし、両者ワンミス。
2人目から4人目までは名古屋森岡、逸見、ペドロコスタ、フウガ揚石、半田、内田が決め3-3で5人目へ。
名古屋5人目はリカルジーニョ。ゴール右へしっかり決め4-3。フウガ5人目は諸江。左下へのシュートは川原がセーブ!
ついに決着!川原に駆け寄り抱き合う名古屋。全日本選手権、初の優勝。そして「宿敵」フウガを破っての
あまりに劇的な幕切れ。会場は激戦に対する感動と、素晴らしい試合を見せてくれた両チームへの感謝の拍手に包まれた。
<表彰式>
優勝した名古屋から順に表彰。苦しんだ分、喜びにあふれるお立ち台となった。続いて2位フウガ、3位北海道の表彰。
MVPは決勝戦でも2点、今大会、多くの得点に絡んだ名古屋吉川に贈られた。
引退する木暮は表彰式のあとに会場で挨拶し、「最後に試練を与えてくれて最高の形で締めくくれた。」と振り返った。
名古屋とフウガはもはやFリーグ対地域リーグなどという括りではなく、日本一盛り上がる最高峰のカード。
フウガの活躍はFリーグの威厳を落とすものか活性化を図るものか。会場の盛り上がりは間違いなく後者を示している。
名古屋、大阪の2強に続く存在として、西東京の府中もあるが23区のフウガがFリーグに上がる日が、楽しみでならない。
フウガのメンバーも多数出場する関東リーグ主催オールスター戦が4月6日(土)駒沢屋内球技場で開催されます。
入場無料。北信越オールスター、東海オールスター、女子オールスターも参戦。詳しくはこちら。
全日本選手権PUMACUPこれまでのレポート
3位決定戦 エスポラーダ北海道vs湘南ベルマーレ
準決勝 第1試合 エスポラーダ北海道vsフウガすみだ
準決勝 第2試合 湘南ベルマーレvs名古屋オーシャンズ
準々決勝 第1試合 エスポラーダ北海道vsデウソン神戸
準々決勝 第2試合 湘南ベルマーレvs府中アスレティックFC
準々決勝 第3試合 フウガすみだvsデリッツィア磐田FC
準々決勝 第4試合 名古屋オーシャンズvsシュライカー大阪
1次ラウンド大阪会場(グループA・B・C)
1日目の模様はこちら→ 1日目 グループA / 1日目 グループB / 1日目 グループC
2日目の模様はこちら→ 2日目 グループA / 2日目 グループB / 2日目 グループC
3日目の模様はこちら→ 3日目 グループA / 3日目 グループB / 3日目 グループC
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撮影: 中根高磁
順位 | チーム | 勝点 | 得失 | ||
---|---|---|---|---|---|
1 | 名古屋 オーシャンズ |
30 | +59 | ||
2 | バサジィ大分 | 26 | +34 | ||
3 | フウガドール すみだ |
23 | +4 | ||
4 | 湘南ベルマーレ | 18 | +6 | ||
5 | バルドラール 浦安 |
18 | +1 | ||
6 | シュライカー 大阪 |
18 | -1 | ||
7 | ペスカドーラ 町田 |
18 | -3 | ||
8 | 立川府中 アスレティックFC |
16 | +1 | ||
9 | ヴォスクオーレ 仙台 |
10 | -17 | ||
10 | Fリーグ選抜 | 7 | -21 | ||
11 | エスポラーダ 北海道 |
6 | -21 | ||
12 | ボアルース長野 | 1 | -42 |
2019年第11節終了時